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2016/01/21ブログ
世界経済は何処へ

バルチックドライ海運指数が、1985年に集計を始めて以来もっとも低い水準の370を切り、下げ止まらない。勿論、2008年のリーマンショック時の指数より低いのだから、世界中の実際の海運業界の景況感がすさまじく悪くなっている事が予想できる。

バルチックドライ海運指数は、石炭や鉄鉱石、穀物などの世界的な需給を示す世界貿易の動向を占う指標として重要であるが、この指数が意味するところは世界中の物資の移動が極端に少なくなっていて実体経済の悪化が顕在化してきたことである。現在の原油価格が1バレル27ドルまで下落したのもうなずける。

中国によるエネルギー資源をはじめとするあらゆる物資の爆買いが出来なくなり、とうとうバブル崩壊が表面化してきたことが世界中の貿易を凍りつかせてしまった。中国経済の落ち込みが一過性のものではなくⅤ字回復できるような代物ではないため、問題の根は深く今後も世界経済に与える影響は非常に大きいものであろう。

物資を輸入に頼る日本にしてみれば、原油価格が下がり、鉄鉱石、穀物等のあらゆる商品価格が下がることは、国民全体としては大変喜ばしい事であるが、物価を上げたい安倍政権と黒田日銀にしてみれば出来れば受け入れがたい状況なのかも知れない。

安倍政権と黒田日銀は連日、公的資金を総動員して「日経平均、1万7000円台の死守」という目標に向けて株式市場への介入を続けていたらしいが、実際に日銀が日本株ETFを通じて買い支えたばかりか、国民年金・厚生年金の年金資金やゆうちょ、簡保まで総動員してお上が必死に買い支えてきたらしい。

さて、その結果はどうか、今年の年初来、日経平均が算出されるようになって以来の連日の下落で、昨日あっさり1万6700円を下回り、本日、更に1万6000円まで下落してしまった。おそらく、一所懸命に買い支えたが外国人投機筋によるマーケットの売り圧力に屈してしまったというところではないだろうか。いち国家が、市場操作をしたらその結果どうなるのか、これから明らかになるだろう。

はたして安倍政権は、日本国民の大事な資産をどれだけ目減りさせてしまうのだろうか。そしてその責任はだれがとるのだろうか。おそらく日銀のメンバーをはじめ、安倍政権は、自分たちのやってきたことは正しかったが、中国経済の予測のできない減速とか、予測のできない原油安などを理由に、自分たちは悪くないと言い訳三昧するのだろう。非常に罪が深く重い人たちである。

アベノミクスなるものは、異常な金融緩和で円安誘導し、今まで1ドル80円で買えたものが120円出さないと買えなくしてしまった。日銀が日本国債を市場から買いあさり70〜80兆円の金融緩和をすれば円安で輸出が増えると断言していた岩田規久男日銀副総裁にも全く輸出量が増えず、むしろドルベースではマイナスになっているのだから、日本国民にしてみれば百害あって一利なしの政策であったのではないかと思わざるを得ない。

株安も日本国内に限らず、中国を始めとする新興国、北米、ユーロと全世界的な株安でもあるが、これも、まだ始まった一歩であり、前述の世界的な商品市況の下落からも、1930年代の大不況を上回る規模とも言われている。平成2年以降の日本バブル崩壊を経験してきたものからすると、これからの市場動向が非常に興味深い。